今回のおすすめ本は、株式会社Voicy代表取締役CEOの緒方憲太郎さん著書の「新時代の話す力」です。
国内最大の音声プラットフォームのVoicyの社長でありご本人も数々の音声発信を行いながら日々「話し方」が上手な人たちを観察している緒方さんが自ら書かれたご著書ということは説得力があるなと思い読んでみました!
音声発信をする人向けというわけではなく、「話す」という伝達手段を使って生きていく人であれば知っていて損じゃない内容です!
いや、知らないと損かも?!
緒方さんのいう「話す力」とは、「あなたが人から求められる力」です。
なぜなら話すとは、聞き手のことを考えて相手に合わせた発信をするコミュニュケーションであるので、これが上手にできる人は、人から「もっと話したい」「信用できる」「もっと関わりたい」「この人のために協力してあげたい」と思ってもらえる人となります。
仕事でパフォーマンスを上げたい人も、家族や友人とのコミュケーションをうまく取っていきたい人も誰でも必要な力ですよね。
この本では前半1章から4章には、この「話す力」の重要性や社会の流れとの関連性についての理論編、
5章から8章で、「話し方」を高めていく実践編としてステップに別れて書かれています。
話し方の本は世の中にたくさん出ていますが、話し方のノウハウだけでなく、「話す力」を人から求められる力と定義し、分解した上でステップごとに書かれている点がとても新鮮であり納得感がありました。
すぐ実践できる内容も多くチェックシートもついているので速攻塗りつぶしたい気分になりました!
今後の人生、人から求められる人になりたいと思う人は必見です。
1章〜4章:「話す力」を高める重要性
「話す力」が高いとは
最初の章では、緒方さんの原体験から実感された話す力について書かれています。
アナウンサー学校にも通ったことがあるという緒方さん。
そこで目の当たりにしたのは、声が綺麗だったり、話がうまいからその人の話を聞くわけではないということ。
綺麗に話すよりも、相手が求めている話を自分らしさを表現しながら会話のキャッチボールができる人が、聞き手をも魅了するということ。
決して上手に話さなくていい。
声が良くなくてもいい。
誰でもできることなんだと最初にハードルを落としてくれています。
誰でもできるけど、誰もやっていないからこそ話す力をつけた時に圧倒的に差が出ると!
それならやってみたくなりますよね。
「声」の将来性
「話す力」を高めることは普遍的に重要ではありましたが、むしろこれからの世界は「話す力」はますます高っていきます。
コロナ禍を経てリモートワークが一般化したり、メタバースやバーチャルの世界で人々が話したりすることが当たり前になっていくと、人の五感の大部分を占める「視覚」の影響力が圧倒的に弱まり、実際に対面で会って接するよりも声の影響力が高まるからです。
好きな自分の見た目になれるメタバース上も「声」は持っていけます。
そして、声や話し方は心の内面がすごく出てしまうので、嘘をつけません!
そんな声の重要性が高まるこれからの世界で話す力がないことはリスクになっていくとも。。。
と、ここまで話す力の重要性についてのお話でしたが(本当はもっとありますが!)、5章からは実践編となります。
以下からは本の章立てとは若干ずれる部分がありますが、私も大変納得した部分について厚めに紹介したいと思います。
5章:「話す力」を高めるための土台づくり
まず自分の声を聞いてみる!
話す力を高めていく前に、まず自分が普段どんな話し方をしているか、現状を把握です。
これは簡単にできるけど、やったことはないという方が大半ではないでしょうか。
いつも鏡で自分の顔はチェックするのに、自分の声や話し方はチェックしようとしていない。
一度自分がどんな表情でどんな話し方をしているか知らないで平気で話しているの、こわくないですか?
もはや裸で外を歩くようなものだとさえ、緒方さんは言っています。
言われてみるとちょっとこわい。笑
でもこの話、私も実感がありまして。
私勤めている会社では、オンライン上で営業を行うので、後から録画で自分のプレゼンを見返すことができます。
上司からは自分の営業録画を後から見直すようにって言われていました。
ハイパフォーマーたちはみんなやってるからと。
私は、今まで自分の話している姿を、ましてやお客様の前でのプレゼンなんて見る機会は全くなかったので、恥ずかしくて自分の動画を見れませんでした。
でも確かに成績優秀なトップ営業マンたちは、みんな自分の動画を見ているらしかったので、私もちゃんとチェックするようになったんです。
正直、もっとマシかと思っていましたが、まぁ最初の動画はひどかったです。
そもそも姿勢が傾いていたり、「あのー」とか「ちょっと」「えー、、」を思いのほか言っていて、とても自信がないように見えました。
普段見ることがなければ人から指摘してもらう以外に気づくことができませんが、自分の声を聞くことで自分の話し方、声のトーン、口癖を客観的に見ることができ、すぐに何を改善したらいいかがわかります。
オンラインでなくても対面でもボイスレコーダーで一度自分の声をとってみること、おすすめします。
自分の話し方の癖が、もうほんとにすぐ、わかります。
そして何をいますぐ改善した方がいいのかも。
恥ずかしいけど、やってみる価値大ありです。
お手本を探して真似をする
自分の話グセがわかったら、じゃあ今度はどんな話し方ができるようになりたいのか、お手本となる人を探しましょう!
社内の人、Youtuber、タレントさんなど。
自分が理想とする話し方の人を見つけたら、全てを真似する必要はなくて、さまざまな人の自分が好きと思うポイントだけ真似していけるといいですね。
自分が嫌だな、と思った話し方は排除していきながらやっていけるといいですね。
6章〜8章:「話す力」の高め方
ここからが本当の実践編。
緒方さんは、「話す力」には3つの要素に分解できると言っています。
- 伝わる
- 聞く
- 場を作る
「伝わる」「聞く」は、確かに!と思いますが、「場を作る」ことも「話す力」の一部だというのは面白いなと個人的には思いました!
「場を作る」力を高めることは、相手に対して素晴らしいコミュニケーションのUXを高めることになるので、自分のこと自体もよくわかってもらえるし相手や周囲の人から好感を持たれる人になる=人から求められる人になるということで、この「場を作る」力が入っているのだと言っています。
以下からは3つに分解した要素の高め方について、私に響いたポイントを書いていきます。
伝わる技術・聞く技術の高め方
話し方の本なので「伝わる」=話す側の技術の高め方が主に書いてあると思いきや、この本では「聞く」技術の高め方の方にも同様のボリュームが裂かれています。
話し方が上手な人はほぼ100%聞く能力が高く、聞く側の力量で話し手の話の面白さや深さが変わってきてしまうので、コミュニケーションの主役はもはや相手側とまで言っています。
最近いろんな本で「聞く」力については触れられていますよね。
そのため、この本では伝わる技術・聞く技術を高める、4つのステップが等しく紹介されています。
伝わる・聞く技術の高め方の4つのステップ
- ストレスを減らす伝え方・聞き方をする
- わかりやすい伝え方・聞き方を覚える
- 相手に合わせた伝え方・聞き方をする
- 自分らしく伝える・聞く
本当は伝わる・聞くに分けて詳細に説明されているのですが、読んでみて、同じステップを踏んでいる!と思ったので、勝手にまとめてしまいました。
まず相手にストレスのない、耳障りのない話し方ができるように「引き算」から始める。
(そのためには前述の、現状の自分の話し方を理解している必要あり。)
まず無駄をカットして初めて、わかりやすい伝え方(内容、会話の方向性を明確にしたり、要点を強調したり…)を覚えていき、相手に合わせてアレンジを加えていく。
さらにいろいろな相手に対して気持ち良いコミュニケーションができるようになって初めて、自分の感情や意見をのせていく。
本書にも書かれていますが、大事なのは、1〜3をすっ飛ばして4に行かないこと。
相手のことを考えていないコミュニケーションでは、誰も話を聞いてくれないし、聞いてもらいたくない人になってしまうから。
そして、「自分らしく」は、決して人の話泥棒になったり人の批判をするのではなく、あくまでも自分のポジションをとるということ。
当たり障りのない会話をするだけではなく、ちゃんと自分の頭で考えてポジションを取っていく。
そうすることで人から意見や存在を求められる人になれると言っています。
とても大事なことが書いてあるのですがあまりにもネタバレになるので詳細は避けますが、この4ステップを着実に踏んでいけば確かに話し・聞き上手になれる気がしましたし、聞くスキルを上げていくことで話すスキルが高まることがよくわかりました。
「話す」とは相互コミュニケーションだからどっちが欠けてもダメだしどっちも一緒に高められるんですよね。
書かれてみれな当たり前ではあるのですが、なかなかふだんここまで意識してコミュニケーションをしていない気がします。
特に身近な人に対しては急に自分の意見を押し付けたり聞いていると思ったら自分の話にすり替えてしまったりを無意識にしているかもしれません!
「場を作る」技術
当たり前に必要な「話す力」と「聞く力」。
でも、この「場を作る力」がなければそもそもいいコミュニケーションが生まれてこない。
気持ちよく話す環境、土台となるものとなるので、もしかしたら一番重要かもしれません。
特に最近、これからはオンライン上のコミュニケーションの場も多くなってきています。
画面越しだけでみんなが安心して話せる場を作る技術はより重要度が増してくると緒方さんは言っています。
場を作る3つのステップ
- 安心して話せる環境を作る
- 場に適応する
- ムードメーカーになる
特に1.「安心して話せる環境を作る」には複数人が集まった場や会議の場でとても重要になることが書かれています。
話のゴールを明確にするとか、特に、アイスブレイクの重要性についてやアイスブレイクのポイントについてです。
アイスブレイクについては、私の会社のミーティングでもよく最初の5分間はアイスブレイクの時間に使うことが多いのですが、全員が話していい場なのだと意識させるために、たわいもない話題でいいので「全員が話す」というのをよくやっています。
確かに最初に発言しておくとその後の発言もしやすくなるなというのは実感します。
そういった「話していいんだ」という場をどれだけうまく作ることができるかが、マネージャーや上に立つ人だけでなく一人一人に求められている時代なと感じます。
そして、「ムードメーカーになる」は難易度が高いのかな?と思っていましたが、ムードメーカーにも色々あるんです。
本著には、3タイプ(①MCタイプ、②感情をリードする、③リーダーシップをとる)紹介されていました。
特に②感情をリードする、は自分が率先して感情を出すことで周囲に話しやすい空気を出すことができるので、勇気は必要だけど誰でもできるのでやりたいと思いました。
私の感想
「聞く力」の欠損、重要性をあらためて感じることができた
いかがでしたでしょうか。
私は毎日Voicyのヘビーリスナーなので、話すとこにおいてのプロ集団と向き合ってきた緒方さんが考える「話す力」というのが気になって一気に読んでしまいました。
そして、私はずっとお客さんと対峙する仕事をしてきたのにも関わらず、人と話すのが得意です!とは胸を張って言えません。
どちらかというと一人でいたいタイプ。笑
本著を読んで、私が人と話すのが得意でない理由は「伝え方」が下手というよりは、ちゃんと人の話を聞いてあげられていないことに原因がありそうだな!と思いました。
「伝える」技術を高めるのと同様に「聞く」技術を一緒に高めていくことで、人の話も広げたりサポートに回ることのできる人となり、話していて気持ちの良い人になる。
結局、相手を思いやり自分が心を込めて伝えたい!という思いが人を動かし魅了するんだろうなと思います。
「話す力」を高めて、子どもからも「必要とされる」親になりたい。
そして、読んでいて思ったのはこれ、子どもへの接し方も同じだなと。
親がつまらなそうに話を聞いていたりするとだんだん子どもの方から話してくれなくなりますよね。
そして、感情に任せてこちらが言いたいことばっかり言っても全然伝わらないですよね。
子どもへ接するときも、丁寧にまず「安心して話せる場」を作り、その上で伝える・聞くの4ステップを実践し、子どもからも「必要とされる」親でありたいなと思いました。
まずは、自分の普段の話し方を録音することから、あなたも一緒に始めてみてはいかがでしょうか!